【遊戯王】竜剣士EM デッキ解説(リミットレギュレーション 2016/01/01)
2016年2月21日の第4回道産子CSに向けて一月強の期間、練習していました。
せっかくですので、練習中に思ったこと感じたことを全部書こうと思い、記事を書きました。長文になりましたが、読んでくださるとありがたいです。
前回の記事は箇条書きすぎて変遷が感じられなかったので、今回の記事では流れをしっかりと書いていこうと思います。
- はじめに
- リスト
- 構築上意識した点
- 採用カード解説
- 反省点
- おわりに
1.はじめに
前期と同様、今期も【竜剣士EM】を使いました。
以前よりは多くのデッキが選択肢として存在している現環境で、【竜剣士EM】を使用する一番の理由は非常に単純ですが『安定して強力な展開ができること』だと考えています。
一番簡単なキルパターンである『《竜剣士ラスターP》を含むレベル4Pモンスター4体 (1体はレベルを問わない) 』は《竜呼相打つ》の存在から条件が満たしやすく、同様の札で《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》+ ★4モンスター(《旧神ヌトス》込み)という先手向けのフィールドも形成できます。
この環境を戦っている方々には自明かもしれませんが、【竜剣士EM】は前期同様シェアは最も高く、デッキパワーが頭一つ抜けている「強いデッキ」です。
【帝】の事故要素を極力排除しようと12月末に開発された【超量帝】も非常に魅力的でしたが、構築の自由度・どれだけ解消に努めても一定数の事故は存在する点を踏まえて諦めました。
やはり「強いデッキ」には、多少のミスもなかったことにして勝ちをもぎ取りに行くことができる力があります。自分は周りのプレイヤーと比べて、プレイに秀でているわけでもないので、これを使って勝ちに行くことを選びました。
2.リスト
メインデッキ 42枚
EMモンキーボード×3枚
EMドクロバット・ジョーカー×3枚
EMペンデュラム・マジシャン×3枚
EMリザードロー×2枚
EMギタートル×2枚
竜剣士ラスターP×3枚
竜剣士マスターP×3枚
竜魔王レクターP×1枚
竜魔王ベクターP×1枚
エキセントリック・デーモン×2枚
レスキューラビット×1枚
幽鬼うさぎ×1枚
増殖するG×3枚
エフェクト・ヴェーラー×2枚
サイクロン×3枚
揺れる眼差し×3枚
竜呼相打つ×3枚
狡猾な落とし穴×1枚
奈落の落とし穴×1枚
時空の落とし穴×1枚
エクストラデッキ
爆竜剣士イグニスターP×2枚
剛竜剣士ダイナスターP×2枚
昇竜剣士マジェスターP×1枚
旧神ヌトス×1枚
No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー×1枚
SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング×1枚
No.39 希望皇ホープ×1枚
鳥銃士カステル×1枚
恐牙狼 ダイヤウルフ×1枚
励輝士 ヴェルズビュート×1枚
深淵に潜む者×1枚
フレシアの蟲惑魔×1枚
幻影騎士団ブレイクソード×1枚
サイドデッキ
彼岸の旅人 ダンテ×1枚
浮幽さくら×2枚
飛翔するG×3枚
ブラック・ホール×1枚
ハーピィの羽根帚×1枚
ツインツイスター×1枚
神の宣告×1枚
神の通告×3枚
激流葬×2枚
A.あるよし(@chi_aruyoshi)
B.カノン(@kanon_4200) 【幻影彼岸】
C.ゆきまる(@godyukimaru) 【竜剣士EM】
1回戦 vs【彼岸】 先攻 ☓ ◯ ☓
2回戦 vs【EM】 先攻 ◯ ◯
3回戦 vs【セイクリッド】 後攻 ☓ ◯ ◯
4回戦 vs【EM】 先攻 ◯ ☓ ☓
5回戦 vs【彼岸】 先攻 ◯ ☓ ET◯
準々決勝 vs【EM】 後攻 ◯ ◯
準決勝 vs【EM】 先攻 ◯ ◯
3位決定戦 【EM】 後攻 ◯ ◯
6−2で3位でした。
3.構築上意識した点
◇ 展開抑止と返し手を兼ねる《増殖するG》
今期も先攻が圧倒的に有利ですので、先攻1ターン目に相手の展開を抑止できるようなカード、あるいは完成された相手の展開を返すためのカードのどちらかを入れなければ、先攻後攻を選ぶサイコロの結果がそのままマッチの勝敗になってしまいます。
展開抑止か返し手…どちらの札を選択するかはプレイヤーの好みですが、このどちらの役割も兼ね備えているのが《増殖するG》です。
基本的には両スケール設置後に発動されます。【竜剣士EM】のミラーマッチにおいて 相手のターンになっても自分のスケールが残っているという事態は、どちらがサーチ効果を起動する権利があろうとも《揺れる眼差し》による強制的な伏せ剥がしへと繋がります。破壊されたスケールはそのままモンスターへと変貌し、全てが出てきてゲームエンドです。
よって、《増殖するG》を打たれた側は否が応でも《EMペンデュラム・マジシャン》か《剛竜剣士ダイナスターP》を特殊召喚し、自分のスケールを消す、あるいは相手の《揺れる眼差し》から自分のスケールを守らなければ、妨害を妨害として換算できなくなってしまいます。
つまり、先攻1ターン目に《増殖するG》を打つ側は基本的にノーリスクで相手の動きを抑止でき、相手の行動如何で盤面を返す為の札を引き込むこともできるということになります。
また、Emの穴を埋めるかのように浮上してきた《レスキューラビット》を採用した構築に対しても強く、《レスキューラビット》の効果にチェーンして発動した場合、相手は不都合な二択を強要されてしまいます。
このような事から、《増殖するG》が今期の手札誘発の旗頭となるであろうと考え、それに沿った構築を考えていくことに決めました。
このカード以外の展開抑止として《幽鬼うさぎ》/《エフェクト・ヴェーラー》/《ドロール&ロックバード》/《タイフーン》が存在しますが、これらは全て一長一短で、《増殖するG》のような高いパフォーマンスで全ての展開に対応することはできません。
何より、これらのカードは《増殖するG》とは違って返し手になり得ません。これらに全力を傾け過ぎると、「いざ自分が有利な先攻を選択できたのに動けない」というクスリとも笑えない事態が起きてしまいます。
このような事案をなくすため、展開に絡む札を減らさず、これらの妨害札をある程度の数入れるようにしました。
《ブラック・ホール》のような相手の展開を返すためだけのカードもこれに当たります。手札誘発は展開後に妨害としても使用可能ですが、これらは劣勢時やグダったゲーム以外では《アルティメット偽物のわな》みたいなもので、ブラフ以外の役割がありません。メイン戦の戦略は出来る限り一貫性を持たせたかったので、《ブラック・ホール》のメインデッキへの投入はやめました。
◇《ナチュル・ビースト》の隆盛
道産子CSの直近に開催された日本各地の大型非公認大会では、メインないしはサイドから《ナチュル・ビースト》を採用するタイプの構築が流行していました。
僕は地元は北海道ですが現在は東京に住んでいて、北海道の地域事情はチームメイト頼りでした。
チームメイトに話を伺ったところ、北海道の環境を主導している人たちが《ナチュル・ビースト》に否定的だったためか、採用している人は少数だと聞いていました。
《竜剣士ラスターP》が絡まずに《EMペンデュラム・マジシャン》が場に居り、他に☆4が2体出て、メインデッキに通常戦力外なお花を1枚、エクストラデッキを余分に2枠割いてまで投入する価値があるかは、非常に難しい問題です。
最初は《ナチュル・ビースト》の対策を切って、他のオーソドックス(と言うかはわかりませんが)な【竜剣士EM】寄りな構築にしようと思っていました。
しかし、いくら地域柄採用する人が少なそうといえども、どのようなタイプの【竜剣士EM】に対しても即死級のダメージを与える《ナチュル・ビースト》を軽んじるのはナンセンスであるし、流行に乗る人も一定数いると考え、少なくともサイドには対策札を用意しようと思いました。
《ナチュル・ビースト》は《増殖するG》を打たれた場合の先攻展開の終着点としても優秀で、《エフェクト・ヴェーラー》や《神の通告》を持っていれば、何枚引かれようが問答無用で勝ちをもぎ取る力があります。
◇ 要求ハードルを下げる《旧神ヌトス》
2月のはじめ頃から竜剣士絡みの展開パターンに変化が起きました。《旧神ヌトス》です。初出は《EMプラスタートル》を利用して《セイクリッド・プレアデス》を出すというものでした。しかし、《EMプラスタートル》のような特殊な札を用いずとも、メインギミックの展開パターンに絡めることで、より強力な展開が可能になることがわかりました。
このカードの発見により、《レスキューラビット》や《竜呼相打つ》、《予想GUY》を使って、予め竜剣士EXモンスターを出しておかなければ困難だった《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》+《フレシアの蟲惑魔》という盤面を、《竜剣士ラスターP》絡みの☆4Pモンスター×4体で達成できるようになったのです。
《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》+《フレシアの蟲惑魔》+《深淵に潜む者》(素材に《旧神ヌトス》込み)というワンランク上の制圧盤面を作ることも可能になりました。このフィールドは、欲張って1枚でもスケールを残してターンを終了しない限り、【竜剣士EM】のメインギミックでの突破は不可能です。
また、このカードの存在によって、《昇竜剣士マジェスターP》の特殊召喚効果に《エフェクト・ヴェーラー》を使われてしまい、前述の《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》+《フレシアの蟲惑魔》の場を作れなくなった場合に、《ナチュル・ビースト》へと向かうことも可能となりました。
《エフェクト・ヴェーラー》を貫通したこの展開は非常に厄介ですが、《旧神ヌトス》と《ナチュル・ビースト》には「エクストラデッキの枠を喰う」という共通した欠点が存在したため、併用してくる人は少ないと考えました。
◇ 流されない【彼岸】ユーザーと徐々に数を減らす【帝】ユーザー
【彼岸】と【帝】は、【竜剣士EM】には一歩劣るものの、中堅デッキを寄せ付けないだけのパワーと独自の強みを持っています。
【彼岸】は《永遠の淑女 ベアトリーチェ》という時代が時代なら憎しみを一身に背負ってもおかしくないフィニッシャーを保持していますし、【帝】は一度回ってしまうと毎ターン降ってくる《天帝アイテール》と拘束力の高い迫《真帝王領域》によって手の付けられないフィールドを形成してきます。
以前の僕は「【彼岸】は安定しているけれどワンミスが即負けに繋がる細いデッキで、【帝】は多少事故を起こすことはあるものの一度回ると手がつけられない。よって、比較的勝ちやすい【帝】を使う人のほうが多いであろう。」という予想をしていました。
が、現実はそれに反し、【彼岸】ユーザーは揺らぐことなく、【帝】ユーザーは徐々に数を減らしていました。
どちらのデッキも使い込んでいないので、あくまで推測ですが、この現象の理由を考えてみました。
【彼岸】が減らない理由
- 魔法カードに頼らない前面展開と【竜剣士EM】に有効な罠カードによって成り立っているため、【竜剣士EM】の構築の流行に左右されにくい(手札誘発の流行は関係アリ)
- 純/幻影/儀式と型を変えることで対抗できる
- 事故が極端に少ない
【帝】が減る理由
- 《ナチュル・ビースト》採用の【竜剣士EM】の増加
- メインデッキに《サイクロン》を搭載した【竜剣士EM】の増加
- 【超量帝】を手がけたユーザーが【竜剣士EM】に移った
- 構築の自由度が低く、どこまでやっても事故を防ぐことが難しい
これらを考慮に入れ、環境トップ2である【竜剣士EM】と【彼岸】への対策を厚めに構築することを決めました。
4.採用カード解説
□メインデッキ
《EMモンキーボード》×3枚
《EMペンデュラム・マジシャン》×3枚
EMギミックを強力かつ安定たらしめている要因で、デッキの核です。
引けるかどうかがゲームを左右するカードなので各種最大枚数投入しています。
☆4P モンスターの数が展開の強さに直接関わるため、《EMモンキーボード》の効果でEM上スケールを回収する際には《EMドクロバット・ジョーカー》を挟むことが多いです。
《EMモンキーボード》の効果を発動する前に予め《竜剣士マスターP》を発動しておくと、相手の《幽鬼うさぎ》効果にチェーンして《揺れる眼差し》を発動して、スケールを確保することができます。ここで持ってくるカードは《竜剣士ラスターP》であることが多いので、手札に片割れとなる下スケールを持っている場合には有効です。
《昇竜剣士マジェスターP》の絡む展開の場合、エンドフェイズに後続を持ってくることが可能なため、無理に《EMペンデュラム・マジシャン》を特殊召喚する必要はありません(スケールが残ってしまうため、《揺れる眼差し》への対抗策は別途必要)。
《EMリザードロー》×2枚
《EMギタートル》×2枚
《EMモンキーボード》の性質上、もう片側がEM名称を持たなければこのデッキの主体である☆4モンスターをP召喚できません。
一応《EMドクロバット・ジョーカー》もスケール8を持つモンスターですが、スケールとして活用することは稀であるため、今回は省いておきます。
今回の構築では《EMリザードロー》と《EMギタートル》の2種2枚の計4枚を採用しました。こうした比率で採用する目的は以下の2点です。
- 展開後の2ドローによって罠を引きに行くのではなく、展開前の2ドローによって《竜呼相打つ》などの展開札を引きに行きたいため
- EM上スケール被りの事故を解消できる可能性があるため
1を達成するためには、《EMペンデュラム・マジシャン》の成立以前にこれらのセットを集めなければなりません。両方を素引きする、もしくは片方を素引きし、もう片方を《EMドクロバット・ジョーカー》でサーチするという形で達成を試みます。竜剣士モンスターの絡まないEMまみれの手札では、展開の強さがガクッと下がってしまうので、竜剣士を加え入れることができる可能性のあるこのコンボは重要であると考えました。
2については、下の画像のような手札の際に、これらのうちの片方が《EMシルバー・クロウ》であった場合を考えるとわかりやすいです。
《EMリザードロー》と《EMギタートル》の場合は《EMモンキーボード》や《竜呼相打つ》等をドローするだけで途端に強ハンとなりますが、どちらかが《EMシルバー・クロウ》だった場合、ドローに頼ることもできず、持っている妨害札を祈りながら構えることしかできません。これが非常に気になったため、これら2種2枚と投入しました。
また、《剛竜剣士ダイナスターP》の素材はレベルを参照しないため、《EMリザードロー》であっても先攻展開に絡むことができるようになったことも大きいです。デッキ内には強力なカードばかりが入っているため、それらを引き込むドローギミックを活かさない手はないと感じました。
《竜剣士ラスターP》×3枚
《竜剣士マスターP》×3枚
《竜呼相打つ》×3枚
このデッキの爆発力担当です。竜剣士モンスターを使えるかどうかは、出来上がるフィールドのパワーに密接に関わってきます。
竜剣士モンスターを用いて作られる《爆竜剣士イグニスターP》・《昇竜剣士マジェスターP》・《剛竜剣士ダイナスターP》の竜剣士エクストラモンスター達は、実質P モンスター1体で登場します。竜剣士ネームを持つカードにたどり着く可能性を上げれば、それだけ強い展開に近づけることになります。
決して《レスキューラビット》を使いたいがために《竜剣士マスターP 》が3枚入れている、というわけではなく、竜剣士モンスターを展開に絡めるために最大数投入しています。《剛竜剣士ダイナスターP 》の蘇生効果の対象であるため、P 召喚で召喚無効罠カードを踏む際にも役立ちます。
また、手札誘発や罠が飛び交っているゲームにおいて、素の殴り合いで打点的優位を持てる竜剣士モンスターは優秀です。☆4モンスターが次の自分のターンまで生存していることは、今後の展開を有利に進める上で非常に重要となります。
《竜魔王レクターP》×1枚
《竜魔王ベクターP》×1枚
《竜呼相打つ》の発動条件を満たすためのPモンスターで、どちらもスケール効果としてPモンスターに対する妨害効果を持っています。
《竜魔王ベクターP》の登場によって、《竜呼相打つ》で確実に欲しい側のスケールを確保することができるようになりました。
《竜魔王ベクターP》は当日まで1枚と2枚の間で揺れていました。《竜剣士ラスターP》でこれを増殖させたい場面がよくあったものの、それと殆ど同じ数だけ増殖させる意味のない展開もあったためです。
と言うのも、《ナチュル・ビースト》が入っていれば、《EMドクロバット・ジョーカー》+《EMペンデュラム・マジシャン》のような場に追加するだけで十二分に効力はあるのですが、僕は《ナチュル・ビースト》を入れていなかったので、有効活用できる場面も少なかったのです。
今回の構築は「《増殖するG》でドローしつつ相手の展開を抑止し、《EMリザードロー》+《EMギタートル》の効果で攻め手を補充しつつ攻める」と、ドローを意識していたため、トップで引いてあまり強くないこのカードを入れることに抵抗があり、この1枠を即座に攻め手変換できる《サイクロン》と差し替えました。
妨害範囲がスケールであるので、《竜魔王レクターP》よりも多くの効果を無効にできるため、《剛竜剣士ダイナスターP》と合わせて、スケールを維持しつつ戦うというのも悪くないです。
【竜剣士EM】を使い始めた頃は「《竜呼相打つ》を打つことができれば、仮に《竜魔王ベクターP》を選ばれた場合でも《キングレムリン》を投入しておけば、このカードを入れる必要はない」と考えていました。
しかし、【竜剣士EM】というデッキにおいてはエクストラデッキを自由に使えない方が問題であり、《竜魔王レクターP》を1枚でもメインデッキに入れさえすれば、大体の問題は解消できると感じたため、1枚投入しました。
【青眼】の《アモルファージ・イリテュム》をメインギミックで見れる点も評価できます。《揺れる眼差し》さえ引いてしまえば、相手のロック状態を解除可能なので、突破のハードルがグッと下がります。
《レスキューラビット》×1枚
第7期から存在するバニラサポートカードです。
「《増殖するG》の採用増加がわかっているのに、何故《レスキューラビット》なのか」と言うと、偏に単体のゲームメイク力を評価してのことです。
《EMドクロバット・ジョーカー》や《竜呼相打つ》ですら、他のカードとの組み合わせによってパワーを発揮するカードで、エクストラデッキや手札に展開札が何もなければ、出来ることは限られています。
勿論そんな状況は稀ですし、1ターン目を重視する現環境において、このような例えはナンセンスかとは思いますが、組み合わせても強く、単体でも仕事を遂行できることを評価したというニュアンスを受け取ってもらえると嬉しいです。
竜剣士の項で述べたように、竜剣士へアクセスできるかどうかは強い展開をできるかどうかに関わります。何よりこのカードは単体で《剛竜剣士ダイナスターP》となれる唯一のカードで、《竜剣士ラスターP》が絡まずとも、スケールさえあれば最低でも《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》へ辿り着くことができます。
では、何故1枚なのかと言うと、先攻1ターン目でこのカードの発動に《増殖するG》を喰らったゲームは殆ど負けなためです。先攻後攻がひっくり返って不利になっちゃったよ〜とかそんなちゃちな事態ではなく、「ほぼ負け」です。
自分が損をしないルートを選べば、相手の《増殖するG》は無償の《命削りの宝札》へと変貌し、損をしてでも相手にドローさせないルートを選べば自分の場はガラガラ。
スケール設置後に《増殖するG》を確認した後に通常召喚する等である程度は解消できるのですが、このカードが3枚入っていると、直撃を避けられない場面が頻発すると考え、おまけ程度の1枚の採用としました。
《竜魔王ベクターP》が1枚であることが多少不安でしたが、調整段階でも《竜魔王ベクターP》を出したいと思う場面が殆ど存在しなかったので、自分の調整を信じました。
また、魔法を介さない展開要因ですので、《ナチュル・ビースト》に対抗する手段の一つでもあります。
《エキセントリック・デーモン》×3枚
《昇竜剣士マジェスターP》や《揺れる眼差し》でサーチ可能な万能除去モンスターで、多くの方のレシピを見ても1枚は絶対に入っているカードです。
昨今のデッキはモンスター・バック共に強力なものが構えられていることが多く、自分の手札状況次第でどちらにも対応可能な点を評価しました。
どちらの効果も強力なため、素引きしたかったこともあり、出来る限りたくさん投入したかったのですが、重なった時の弱さが目立ったため2枚までの投入で抑えました。
《サイクロン》との比較点として挙げられる先手の際での浮つきですが、勿論重なった場合は目も当てられないですが、それ以上にスケールであることによって最低限展開に絡むことはできる点のほうが勝っていると考えました。
《EMリザードロー》と共に《幻影騎士団ブレイクソード》にも成れるので、モンスター効果を優先して使ってしまった後にも再度フィールドに触ることで出来るようになっていることもあり、役割が単調なことからくるストレスも感じず、非常に使いやすかったです。
《増殖するG》×3枚
《エフェクト・ヴェーラー》等の手札誘発と違って直接的な妨害でないにしろ、後手向けの突破カードも手数も多い【竜剣士EM】においては実質的な展開妨害札として換算できます。
前述の通り、今環境のキーカードだと思っています。
このカードを発動された際に、「相手のドロー枚数を少なく抑えるために最小限の動きでストップし、その展開の弱さを神系統の罠を搭載をすることで補う」というプランを採ってくる人が多いと考え、《エキセントリック・デーモン》や《サイクロン》を増やしました。
《幽鬼うさぎ》×1枚
《エフェクト・ヴェーラー》×2枚
ミラーの後手意識の採用ですが、《エフェクト・ヴェーラー》は先手の強い展開を《レスキューラビット》や《エキセントリック・デーモン》から守る簡易的な《神の通告》的役割もあるため、完全後手寄りカードというわけでないです。
なぜこの比率で採用しているかと言うと、《エフェクト・ヴェーラー》のみ3枚だと、被った際の2本目以降の後手におけるグダついたドラゴンビートゲームで役割を果たしにくいためです。後手における《幽鬼うさぎ》と《エフェクト・ヴェーラー》の役割は6枚目に引かない限りほぼほぼ似通っているので、散らしても問題ないと判断しました。
予め《ナチュル・ビースト》が少ないと聞いていたので、メインの段階では《エフェクト・ヴェーラー》の打ちどころで迷わなくて済んだというのも大きいです。
《サイクロン》×3枚
古典的バック破壊カードです。
対抗馬である《ハーピィの羽根帚》との比較ですが、《魔封じの芳香》が環境二番手の彼岸にほぼ3枚入っている点、先手の際にも有効活用できるようにしたかった点を考慮すると、雷マークが描かれているかどうかは非常に大きな違いであると考え、こちらを3枚投入しました。
以前は《サイクロン》・《エキセントリック・デーモン》共に2:2で投入していましたが、前述したとおり、「《増殖するG》が増加するようであれば、敷かれるバックは増える」という予想から、この数では不十分であると考えたため増量しました。
環境上位4デッキ全てに対して有効に機能するため、ムラなく強かったカードでした。
《揺れる眼差し》×3枚
ペンデュラムテーマサポートですが、【竜剣士EM】は並のペンデュラムテーマとは異なり、1枚で両スケールを揃えることが可能ですので、破壊したものがそのまま展開されます。
【EMEm】時代の使い方とのギャップが一番大きかったのはこのカードでした。
元々通ってしまえばミラーマッチを制することができるほどのパワーを持っていましたが、《Emダメージ・ジャグラー》亡き今、まともな対抗札は無いに等しいです。
言い方は悪いですが、このカードは完全に引き得カードです。
《幽鬼うさぎ》や《タイフーン》といったスケール発動を妨害するカードにチェーンして発動できれば、妨害虚しく今手札に最も欲しいカードが加え入れられます。
P召喚前にこのカードを打ってしまうと、《EMモンキーボード》といったスケールを揃えるカードを持たれているだけで、わざわざ破壊したスケールが一転、展開用のモンスターへと変貌し前面に加わってきます。このように、P召喚を止める意図で打つと損することがありますので、今までの動きから相手の手札を読みつつ打つと良いかと思います。
速攻魔法故に伏せることができますので、神系統の罠を匂わせることで展開を抑えさせ、相手の《EMペンデュラム・マジシャン》の効果でスケールを対象に取った際に打てば、相手の《揺れる眼差し》を重ねられても確実に後続を断てるため、擬似的な《エフェクト・ヴェーラー》のように使うことができます。
《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》+《フレシアの蟲惑魔》の展開の際に、《爆竜剣士イグニスターP》等で自分のスケールを取り払えない限り《EMリザードロー》+《EMギタートル》による2ドローを狙うことが悪手になる要因となるのは、このカードです。
ミラーマッチにおいて、この盤面にたどり着くことができれば、相手の《竜呼相打つ》を止めるだけで殆ど勝ちなのですが、《EMギタートル》がスケールに残っていた場合、《揺れる眼差し》でも捲られる可能性が生まれてしまうので、注意が必要です。
《狡猾な落とし穴》×1枚
《奈落の落とし穴》×1枚
《時空の落とし穴》×1枚
《フレシアの蟲惑魔》の弾です。
神系統とは異なり、以下の利点が存在するため、こちらを採用しました。
- ☆4×2体で擁立できる致命的な妨害である点
- 召喚無効でないので《増殖するG》を打っていても1ドローできる点
2016年02月中旬では落とし穴カード3種の構築が主流だったので、自分がこっそり1種減らしても、相手はこちらに落とし穴が3種類入っている前提で動いてくれるため不要かと考えていました。落とし穴カードは展開に絡まないため、この部分を1枚でも動きに関与する札に変えたほうが安定すると思っていたためです。
しかし、相手が負け濃厚の際には、落とし穴を喰らおうが喰らうまいが負けなので無視して大量のモンスターをP召喚してきます。それを止められない場合、殆どの場合そのまま負けてしまいます。結果、不要牌を1枚引くことのほうが、ライフが0になってしまうことよりよっぽど良いという考えに至り、今回は3枚投入としました。
□エクストラデッキ
《爆竜剣士イグニスターP》×2枚
《剛竜剣士ダイナスターP》×2枚
《昇竜剣士マジェスターP》×1枚
各々が条件次第で実質Pモンスター1体で登場できる、このデッキの要です。
《爆竜剣士イグニスターP》の3枚目を投入している方がよくいらっしゃいますが、【彼岸】相手に偶に使う程度だったので不採用としました。
《剛竜剣士ダイナスターP》の2枚目は、《レスキューラビット》との兼ね合いもありますが、《竜剣士マスターP》の強さを支えており、守備2950というステータスも竜剣士蘇生効果も有用であると感じたので、個人的には確定枠です。
《昇竜剣士マジェスターP》は、サーチ効果はもとより《竜剣士ラスターP》を含む☆4×4体の展開における中継モンスターとしても有用で、無ければ《旧神ヌトス》絡みの展開ができない、ワンキルもできないと散々だったので1枚投入しました。2枚目の投入も考えましたが、使う場面が狭かったので、取り止めました。
《旧神ヌトス》×1枚
前述のとおり、強力な展開のハードルを下げてくれる1枚です。強みの促進となるため好かないという方もいらっしゃるかと思いますが、エクストラデッキの1枚を割くだけで先手の勝ちを獲得しやすくなるのならば悪くないと思っています。
【彼岸】や【帝】に対しても、これの混ぜ込まれた《深淵に潜む者》は強固で、高い拘束力を持っているので、なかなかに信頼度は高いです。
《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》×1枚
レベル8竜剣士モンスターを介して登場するため、使用したモンスターは全てエクストラデッキへと還っていくので、返しのターンの攻め手も確保できます。
持っている効果全てが強力ですが、不用意に横の★4モンスターが破壊された際のATKアップ効果を使ってしまうと《幽鬼うさぎ》によって魔法を一度も止めることのないまま破壊されてしまうこともあるので注意が必要です。
《SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング》×1枚
《No.39 希望皇ホープ》×1枚
もっぱらvs【彼岸】用です。
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》との比較対象かと思います。
ミラーマッチにおいては★4で高打点モンスターを突破したいという状況が少なく、逆にvs【彼岸】でこのカードの有無がゲームを分けることが多いと考え、投入していました。
エクストラデッキを2枠割きますし、効果使用後には《永遠の淑女 ベアトリーチェ》での自突対象となってしまうのが気になりますが、そのリスクに見合うリターンのあるカードだと思います。
《鳥銃士カステル》×1枚
使用頻度は少ないですが、触れる範囲の広さが魅力です。
《旧神ヌトス》の存在から、効果使用後も他のランク4モンスターへと変身することもできます。
《恐牙狼 ダイヤウルフ》×1枚
こちらも使用頻度は少ないですが、どうしてもバックに触らなければならない場面が存在するため投入しています。
《EMモンキーボード》も効果対象に出来るので、いつかやりたいと思ってはいましたが、結局やる機会はありませんでした。
《励輝士 ヴェルズビュート》×1枚
《恐牙狼 ダイヤウルフ》とは異なり、伏せが2枚以上ある状態でも問答無用で消し飛ばしてくれます。また、相手の前面バック両方を一度に飛ばすことができるのはこのカードのみです。《レスキューラビット》を投入していますので、他の型よりも登場頻度は高めですが、やはり稀です。
余談ですが、再録情報の出る5時間前に2000円で買いました。
《深淵に潜む者》×1枚
【彼岸】と【帝】用ですが、【インフェルノイド】相手にも立てることがあります。《煉獄の虚夢》を使われた場合にも《旧神ヌトス》の効果が発動しないので、《インフェルノイド・ティエラ》が自主退場出来ず、《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》+《インフェルノイド・アドラメレク》でのワンキルが不可能になります。
《フレシアの蟲惑魔》×1枚
返し手としても蓋としても使えるのが魅力です。☆4×2体で作ることが出来るため、引きに依存せずに妨害を敷くことが可能になります。
《EMヒックリカエル》の流行もあり信頼性が低下しているかと思いましたが、そのリスク以上のリターンのあるカードでした。
《幻影騎士団ブレイクソード》×1枚
《浮幽さくら》の弾としての役割が主ですが、通常ランク3としても強力な効果を持っています。《エキセントリック・デーモン》のモンスター効果を使った後にP召喚する際などに、再度フィールドに触ることが出来るようになります。
しかし、《浮幽さくら》用としても《彼岸の旅人 ダンテ》が圧倒的に優先で、ランク3を作りたい場面も非常に稀だったため、他のカードだったほうが良かったと感じております。具体的には《キングレムリン》か《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》にするべきでした。
□サイドデッキ
《飛翔するG》×3枚
《浮幽さくら》×2枚
《彼岸の旅人 ダンテ》×1枚
vs【彼岸】専用カードです。【彼岸】に対しては専用のカードでなければ致命的なダメージを与えるのは難しいと判断しての採用です。
《飛翔するG》の利点は以下の3点です。
- 《魔界発現世行きデスガイド》に対して発動すれば1:0だが展開抑止として機能し、彼岸モンスター×2体での展開には最高で1:2交換と他の手札誘発と比べて損をし難い
- 【彼岸】側がこれを回避するのが難しい
- 除去も可能なので、《マスク・チェンジ・セカンド》・《死のデッキ破壊ウイルス》を間接的に抑止できる
《浮幽さくら》は《彼岸の旅人 ダンテ》を異次元に飛ばすだけで格段に勝ちやすくなると考えての採用です。投入枚数も2枚でしたので、保険で入れていたメインデッキの《幻影騎士団ブレイクソード》は蛇足でした。
《月の書》や《強制脱出装置》等の事後処理カードと比較した場合、6枚目に引いた際の微妙さはあるものの、初手にどれか1枚でも存在すれば展開を大幅に抑制できるため、今回はこの手札誘発5枚体制で挑みました。後手ではこれ以外にも《増殖するG》や《エフェクト・ヴェーラー》が存在するため、相手が正常に展開するのは難しいかと思います。
《ブラック・ホール》×1枚
後手において【彼岸】以外の全てのデッキに投入します。【帝】・【インフェルノイド】に対しては先手後手関係なく投入します。
最近は前面のモンスターにも拘束力があるので、それを取っ払えるこのカードは無難に強いです。
《ハーピィの羽根帚》×1枚
後手において全てのデッキに対して投入します。
相変わらずゲームを左右するパワーを持っています。ミラーマッチにおいては先手後手で威力が大きく変化してしまうと考えていたので、メインデッキには入れず、広く差が出にくい《サイクロン》を投入しました。
《ツインツイスター》×1枚
後手で【青眼】以外の全てのデッキに対して投入します。
Emモンスターの減少による打ちにくさが目立ちますが、それ以上に敷かれた罠を弾けるリターンのほうが大きいと感じます。速攻魔法であるため、妨害としても使える点も高評価です。
《神の宣告》×1枚
《神の警告》・《神の通告》と比較した場合の最大の強みは《ハーピィの羽根帚》と《揺れる眼差し》を防ぐことが出来る点です。
他の神系統罠よりもライフコストは重いことが多いものの、見れる範囲の広さは非常に魅力的です。
《神の通告》×3枚
ミラーマッチにおいては先手のみですが、【彼岸】・【帝】に対しては先手後手どちらも投入します。
範囲の広さとコストの軽さが魅力で、手札誘発も弾けるので攻め守り両方に使えるのが高評価です。《神の警告》ですと《竜呼相打つ》まで無効にできますが、【彼岸】相手の先手でこれを3枚投入したかったこともあり、3枚投入としました。
《激流葬》×2枚
直近で採用数が激増した1枚です。ミラーマッチの後手、【帝】・【インフェルノイド】・【青眼】に対して投入します。
《ナチュル・ビースト》を意識した札としての役割が一番大きいのですが、それだけでしたら《サタンクロース》のほうが強力かと思います。
僕はミラーマッチのグダついたゲームをなかなか重く見ており、その際に使いにくい《サタンクロース》を投入するのに抵抗がありました。
また、サイドデッキの【帝】に対する意識が薄かったこともあり、このカードを投入することに決めました。
しかし、このカードの採用理由と僕の《増殖するG》に対する考え方が剥離しており、それが原因でミラーマッチの3本目を落とす結果となりました。
チームメイトはこの枠を《サタンクロース》としており、《増殖するG》を突っ張って出てきた《ナチュル・ビースト》を吹き飛ばして勝っていたので、世の流れに飲み込まれず自分たちの考えを貫くべきでした。
5.反省点
もう少し【彼岸】に対するプレイを鍛えておくべきでした。妨害札の発動順序を間違えた結果、勝てた試合を落としていたのが悔しいです。
また、《幻影騎士団ブレイクソード》もなぁなぁで採用していたので、そこが他のカードだったほうが良かったかなと感じております。
ミラーマッチ2本目以降の相手の前面突破手段も希薄だったと感じています。《激流葬》も悪くないのですが、自分のプレイ・考えにマッチしておらず、流行に流されて採用した結果負けてしまいました。
長い目で見た僕の目標でもある「自分の考えに基づいたデッキ・プレイで勝ち抜く」に反していましたし、流された自分が情けないです。たくさんの時間を掛けて練習した自分を信じるべきでした。
もしも戻れるのならばこのように変更したいです。
《幻影騎士団ブレイクソード》×1枚→《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》×1枚
《激流葬》×2枚→《サタンクロース》×2枚
6.おわりに
大会までの一月間、毎日のようにADSで練習していた結果がある程度実って良かったです。
優勝は果たせませんでしたが、出来る限りのことはやったと自信を持って言えるのは自分のカードゲーム人生で初めてかもしれません。
調整期間含めて充実した時間を過ごせました。
ゆきまるさん、カノンさん本当にありがとうございました!良いチームを組めて幸せでした!次は絶対優勝しましょう!
練習に付き合ってくれた方々も本当にありがとうございました!半年に一度しか北海道には帰りませんが、機会があればチーム組みましょう!
これで終わります。
長ったらしい文章を最後まで読んでいただきありがとうございました!